aloha-classic.com

« el fin del an~o. | back to top..? | LUPICIA flavored tea. »

November 20, 2008

rakugo - meguro no sanma.

ある落語のクダリを、某書から抜粋。


昔、ある殿様が遠乗りをしていた。
殿様だから、秋刀魚なんて庶民の食べ物は、
生まれてこのかた目にしたことすらない。

殿様が遠乗りをして目黒郊外にさしかかると、
とてもいい匂いが漂ってきた。
その日は、お供が弁当を忘れてきていて、腹もいい具合に空いている。

殿様が何の匂いかを尋ねると、家来は
「あれは庶民が食する秋刀魚という下魚を焼く匂いです。
 殿が召し上がるようなものではございません。」
と言う。

しかし殿様は背に腹は変えられないから秋刀魚を持ってこさせ食べる。
するとこれがまた滅法旨い。

屋敷に戻ってからも、殿様は秋刀魚の味が忘れられない。

あるとき、親戚との集まりで好きなものが食べられると聞いた殿様は、
秋刀魚を所望する。

親戚側は、日本橋の魚河岸からとびきりの秋刀魚を仕入れ、
体に悪いからと蒸して脂を抜き、
小骨が刺さっては大変と1本1本抜いて、
ぐちゃぐちゃに崩れた秋刀魚を椀に入れて出した。

食べた殿様はあまりのまずさに、
「これはいずれで求めた秋刀魚じゃ?」と家来に質す。

「日本橋の魚河岸にございます」と答えた家来に、

「それはいかん、秋刀魚は目黒にかぎる!」と殿様がいうところがオチになる。


一番旨い脂を抜いた秋刀魚など、
情報で言えば三流情報、ガセネタだと言う事の皮肉で
下から上へ上がってくる情報などは、せいぜいその程度のものだという戒め。

ガミガミ叱ったり、
もしくは緻密な机上の理屈を捏ねた戦略を颯爽と指示を出してくる『立派』な上司よりも
時に現場に立ち、実務の戦いの場で一緒に戦ってくれるボスの方が
情報鮮度も感度も知見も高く、結果的に人がついてきやすくなるものだ。

そしてそのチームは、強靭になりアウトプットが非常に良いものになる。


今年ももう、秋刀魚の季節も終わる。


by aloha-classic.com
Kama'aina ; ☆☆☆☆
Me ke aloha ; 597

posted by ALOHA. : November 20, 2008 10:07 AM

COMMENT.

激しく同意!!

posted ヒロイズム : November 22, 2008 10:02 AM

>> ヒロイズム.

だしょー??

いやいや全く、そういう上司になっていかんといかんですよ。
韻を踏んでみました。

posted from ALOHA. : November 25, 2008 08:23 PM